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特集企画
航空券の燃油サーチャージとは何か?購入のタイミングで安くなる場合も
はじめに
航空券を購入する際に燃油サーチャージという言葉を目にしたことがある方も多いかと思います。燃油サーチャージ料として結構な金額が料金に上乗せされていた経験がある方もいらっしゃるかと思いますが、そもそも燃油サーチャージとはいったいどのようなものなのでしょうか。
そこで今回は燃油サーチャージの意味や導入の背景について取り上げ、燃油サーチャージの金額が決まる仕組みや改訂される時期、大手2社の燃油サーチャージや実際燃油サーチャージが適用されるのはどのタイミングなのかについて詳しく解説します。更に航空券をキャンセルした場合や子供の場合の燃油サーチャージの扱いについても取り上げます。
燃油サーチャージって何?
燃料価格に応じて徴収される付加運賃
燃油サーチャージのサーチャージ【surcharge】とは割り増し料、課徴金、追加料金などを意味する言葉で、燃油サーチャージとは、燃料となる灯油や重油、軽油の価格に応じて、運賃とは別建てで徴収される料金のことです。簡単に言うと燃料価格に応じて運賃に追加される料金のことです。燃油サーチャージは燃油特別付加運賃などとも呼ばれます。
燃油サーチャージ導入の背景
もともと海運や航空機などの燃料である灯油や重油、軽油などは価格が急騰することが多く、そうなると契約時や料金表設定時に想定したよりも多くの燃料費がかかってしまいます。その結果企業経営を大きく圧迫してしまいます。そこで1970年代に海運業界で運行時の燃料価格に応じて追加で料金を徴収する燃料サーチャージ制度が導入され、2000年代には航空や陸運業界にも広がりました。
国内線ではかからない
航空券で燃油サーチャージが取られるのは主に国際線で、国内線では基本的には燃油サーチャージは徴収されず、燃油コストは運賃価格に含まれる場合が多いようです。国内線では唯一フジドリームエアラインズが燃油サーチャージを別途徴収しています。
フジドリームエアラインズでは原油価格の下落に伴い2016年4月からは燃油サーチャージの徴収は行っていません。しかしながら2018年1月から再び燃油サーチャージの徴収を再開しました。2018年11月時点でも燃油サーチャージは徴収されています。その額は路線により800円〜1200円となっています。
燃油サーチャージはどのようにして決まるのか
燃油サーチャージは2ヵ月前に決まる
燃油サーチャージの金額は2か月前に届け出がなされます。例えば10〜11月の燃油サーチャージの金額は8月時に届け出がなされます。届け出の時点での直近2カ月平均の航空燃油価格(シンガポールケロシン)をもとに燃油サーチャージの金額が決められます。例えば10〜11月の燃油サーチャージの届け出は8月なので、その直近の6〜7月の航空燃油価格の平均により10〜11月の燃油サーチャージの金額が決まることになります。
燃油サーチャージは設定時から2か月間は固定です。例えば10月20日にサーチャージの金額が改訂された場合、燃料価格が変動しても12月20日まではサーチャージの設定金額は変わりません。
設定金額更新の頻度は?
以前は燃油サーチャージの設定金額を年4回変更している航空会社が多かったのですが、実勢価格をより反映するために今では年6回更新するところが多いようです。年6回となると2ヶ月単位で金額が変更されることになります。
ANAの改定スケジュール
ANAでは年6回ある燃料サーチャージの改定スケジュールと対象期間を以下のように定めています。
発券日 | 適用額発表時期 | 平均値算出対象期間 |
4月〜5月 | 2月中旬〜下旬頃 | 12月〜1月の2ヶ月平均値 |
6月〜7月 | 4月中旬〜下旬頃 | 2月〜3月の2ヶ月平均値 |
8月〜9月 | 6月中旬〜下旬頃 | 4月〜5月の2ヶ月平均値 |
10月〜11月 | 8月中旬〜下旬頃 | 6月〜7月の2ヶ月平均値 |
12月〜1月 | 10月中旬〜下旬頃 | 8月〜9月の2ヶ月平均値 |
2月〜3月 | 12月中旬〜下旬頃 | 10月〜11月の2ヶ月平均値 |
燃料価格とサーチャージ額の一覧表
ANAやJALなど多くの航空会社では燃料価格とそれに対応する燃油サーチャージの金額があらかじめ決められているものです。例えば6,000円以上 7,000円未満ならいくらで、7,000円以上 8,000円未満ならいくらだといったような具合です。10000円以上の燃油サーチャージについては
ANA・燃油特別付加運賃の改定についてに記載されています。
路線 | 6,000円以上
7,000円未満 | 7,000円以上 8,000円未満 | 8,000円以上 9,000円未満 | 9,000円以上 10,000円未満 |
日本=欧州・北米(ハワイ除く)・中東・オセアニア | 3,500円 | 7,000円 | 10,500円 | 14,000円 |
日本=ハワイ・インド・インドネシア | 2,000円 | 4,000円 | 6,000円 | 8,500円 |
日本=タイ・シンガポール・マレーシア | 1,500円 | 3,000円 | 4,500円 | 6,500円 |
日本=グアム・フィリピン・パラオ・ベトナム | 1,000円 | 2,000円 | 3,000円 | 4,000円 |
日本−=中国・香港・台湾・マカオ | 500円 | 1,500円 | 2,500円 | 3,500円 |
日本=韓国 | 200円 | 300円 | 500円 | 1,000円 |
燃油サーチャージがゼロになることも
燃料価格によってはサーチャージ自体がなくなる場合もあります。JALとANAでは航空燃油価格(シンガポールケロシン)が過去2ヶ月の平均で1バレル6000円を下回った場合に廃止されることになっています。ちなみにケロシンとは石油成分の一つで、ケロシンを主成分に灯油、ジェット燃料、ケロシン系ロケット燃料などが作られます。
航空会社ごとに異なる
燃油サーチャージは航空会社ごとに決めれる
燃油サーチャージは各社が独自に決めた金額を関係機関(日本なら国土交通省)に申請し、認可されることで設定することができます。したがって航空会社ごとに金額はことなるわけですが、実際はライバル会社の価格を参考に同一路線では同額に設定している場合も多いです。
2018年11月時点での国際線の燃油サーチャージの設定金額をJAL、ANAそれぞれでみて見ると次のようになります。
路線 | JAL | ANA |
日本=欧州・北米(ハワイ除く)・中東・オセアニア | 14000円 | 14000円 |
日本=ハワイ・インド・インドネシア | 8500円 | 8500円 |
日本=タイ・シンガポール・マレーシア | 6500円 | 6500円 |
日本=グアム・フィリピン・パラオ・ベトナム | 4000円 | 4000円 |
日本−=中国・香港・台湾・マカオ | 3500円 | 3500円 |
日本=韓国 | 1000円 | 1000円 |
国内は横並びのケースが多い
ご覧のようにJALとANAでは燃油サーチャージの金額に差はありません。自由に決められるとはいえ、他社の動向も反映した上で金額を決めるので、結果差がない金額設定となっているようです。ただし海外の航空会社では必ずしも同一の金額を設定しているとは限りません。例えば日本=韓国便では国内2社は片道1000円の燃油サーチャージですが、アシアナ航空だと片道1300円に設定されています。
どのタイミングで料金がきまるの?
燃油サーチャージは発券時のものを適用
航空券を予約し、代金を支払い、発券されるまでに日数を要することも少なくありませんが、燃油サーチャージが適用されるのは発券でのタイミングです。例えば9月29日に予約をして10月1日に代金を支払い、翌日発券手続きがなされたとします。この場合燃油サーチャージは10月分のものが採用されます。
実際サイトなどで航空券の予約を申し込むと、数日以内(2〜3日が多い)に現金の支払いを求められます。間際出発や発券期限が迫っている場合は即日の入金を求められることもあります。入金が確認されると発券手続きへと進みます。発券手続きは入金後早急に対応すると明記されているところが多いです。
燃油サーチャージの基準日は出発日ではない
上で述べた通り燃油サーチャージはあくまで航空券を予約し、代金を支払い、発見手続きがなされた時点で決まります。例えば出発予定日は10月9日で、予約して発券がなされた日が9月9日だとします。9月と10月では燃油サーチャージの金額が異なる場合がありますが、あくまで燃油サーチャージの金額が採用されるのは発券日の9月のものです。
改定時期を挟む場合は発券のタイミングに注意
次回の設定金額の更新でサーチャージが安くなるとわかっている場合はその時期に合わせて予約を申し込み、逆に高くなる場合はその時期になる前に予約、発券手続きを済ませておくことでサーチャージを安く抑えることが出来ます。
早めに予約しないと座席を確保できないような人気の便の場合は、安いサーチャージをとるか確実な座席確保を取るか判断のわかれるところだと思います
航空券の購入時期の見極め
では実際にANAの改定スケジュールを例にサーチャージの安い時期を見極めて航空券を予約する例を紹介します。例えば現在9月1日だとして、10月30日の便の航空券を購入するとします。
購入する機会は9月中と10月中が可能で、9月と10月では燃油サーチャージの改定時期を挟むので、燃油サーチャージの金額が異なる場合があります。9月のサーチャージの金額は6月中旬から下旬には発表され、10月のサーチャージの金額は8月中旬から下旬には発表されます。したがって9月の時点では9月も10月もどちらもサーチャージの金額は発表されています。両者を比較してみてサーチャージが安い時期に航空券を購入して発券すれば、その分安く航空券を購入することができます。
日時や便の変更、キャンセルをした場合
航空券の日時や便を変更した場合
航空券の日付は変わらないものの便を変更した場合や、便はそのままで日付を変更する場合は、変更した時点での燃油特別付加運賃の額が採用されます。例えば航空券発券時は燃油サーチャージが1500円だったとして、航空券の日時や便を変更した時点では3000円だった場合、追加費用として1500円かかることになります。逆に発券時は3000円で、変更時には1500円だった場合は、手数料はひかれますが差額が返金されます。
キャンセルの場合の料金は?
飛行機の航空券の場合、便発着前なのか、あとなのか、何日前なのか、何日後なのかなどによりキャンセル料の金額が変わってきます。場合によっては全額キャンセル料としてとられ、戻ってこない場合もあります。航空券の料金の中でも燃油サーチャージ分は全額返金されます。
その他気になるポイント
子供は半額になるのか?
通常航空券には大人料金と子供料金が設定されていますが、燃油サーチャージの扱いはどうなっているのでしょうか。燃油サーチャージは子供でも大人と同一料金です。ただし幼児で座席を使用しない場合は燃油サーチャージはかかりません。
個別表示が総額表示か
旅行運賃は旅行運賃に燃油サーチャージ込みで表示する総額表示と、別々に表示する個別表示の大きく2種類に分類されます。旅行運賃を比較する場合は一見安いと思っても燃油サーチャージが含まれていない場合もありますので、燃油サーチャージこみなのかどうかを確認のうえ比較するといいでしょう。
燃油サーチャージが追加請求される場合も
航空券とホテルがセットになったツアー商品などでは、燃油サーチャージが後日追加請求されることもあります。これは購入してもすぐには発券手続きを取らず、搭乗日に1週間前などになって発券手続きをとることが多いからです。購入時ではなく発券時の燃油サーチャージが採用されるので、その時に値上がりしていれば差額が追加請求されることになります。詳しくは
燃油サーチャージの変更で後から追加請求されることはあるのか?で解説しています。
近年の燃油サーチャージの動向
2016年4月からサーチャージ無し
昨今の燃料価格の下落に伴いシンガポールケロシンの価格も6000円を下回って来たため、2016年4月からANAとJALでは燃油サーチャージの徴収を取りやめました。これは過去2ヶ月の平均で1バレル6000円を下回れば徴収しないという約束を順守したものです。燃油サーチャージ無料というのはあくまで暫定的なもので、再び燃料価格が高騰すれば燃油サーチャージの徴収は再開されます。当記事執筆時の2016年9月22日の時点ではサーチャージは無料です。
再び燃油サーチャージの徴収再開
2016年10月と11月のシンガポールケロシンの市況価格が1バレルあたり平均58.69米ドルで、円貨換算額が6221円となり、6000円を超過したので、12月に各航空会社の申請で2017年2月、3月分から再び燃油サーチャージの徴収が再開されました。実に10カ月ぶりの再開となります。
2017年2月3月分のシンガポールケロシン市況価格の円貨換算額は7,232円なので、6月7月分の燃油サーチャージの金額は上記の表の7000円〜8000円での価格帯が採用されることになります。日本=欧州・北米(ハワイ除く)・中東・オセアニアの燃油サーチャージは7,000円となります。
2018年度の燃油サーチャージは?
2018年6月と7月のシンガポールケロシンの市況価格は1バレルあたり円貨換算額で9659円となったので、10月11月分の燃油サーチャージの金額は上記の表の9000円〜10000円での価格帯が採用されることになります。日本=欧州・北米(ハワイ除く)・中東・オセアニアの燃油サーチャージは14,000円となります。
この記事を書いた人

生活知恵袋
生活知恵袋・ネットで旅行・宿泊予約管理人の生活知恵袋と申します。2002年より当サイトを運営。生活の知恵に関する情報や、食品の保存、見分け方の紹介のほか、旅行や宿泊予約に関する記事を多数執筆。便利な宿泊予約サイトの使い方なども解説しています。
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