ほうれん草は栄養素も豊富で冬特に美味しい野菜の一つです。お浸しや和え物、炒め物、ポタージュなど多くの料理で利用されます。今回はほうれん草の旬や種類について見ていき、その上でほうれん草を葉の部分で見分ける方法と、茎の部分、根元の部分で見分ける方法を紹介します。
さらに傷んだほうれん草の見分け方やホウレン草の保存方法、ほうれん草に含まれる栄養素についても取り上げます。
ほうれん草は通年出回っていますが、霜に当たって甘みが増す12月〜1月までが特に美味しい季節です。この時期のほうれん草は栄養価も高いです。
主な産地は千葉、埼玉、群馬、茨城で全体の40%を占めます。夏場は北海道産も多く出回ります。
ほうれん草は葉の緑色が濃くて色鮮やかで、色ムラのないものを選びましょう。黒ずみのあるものは避けます。
ちなみにこちらは鮮度が落ちて色もあせ、しなっとしてみずみずしさもなくなったほうれん草です。
並べてみるとこんな感じです。左は色鮮やかでみずみずしいほうれん草で、右はしなびて色あせたほうれん草です。並べてみると色もかなりあせているのがわかるかと思います。
ハリつやがあってみずみずしいものも新鮮です。ただし店頭にあるものは水につけて蘇生させてあるものもあります。これだとすぐに悪くなるので早めに使いきるようにします。
ちなみにこちらは鮮度が落ちてしなっとしてみずみずしさもなくなったほうれん草です。
並べてみるとこんな感じです。左は葉にハリがあってみずみずしいほうれん草で、右は葉がしなびたほうれん草です。並べると葉のハリやみずみずしさの差がよくわかるかと思います。
ただこの状態であればまだハリやみずみずしさを復活させる方法はあります。詳しくはしなびたほうれん草が元通りになるの?ほうれん草の復活術、再生術を検証しますで解説しています。
また以下の動画でもその効果を検証しています。
葉は表側だけでなく裏側も緑色の濃いものを選びます。下の画像のように葉の表に比べると黄緑がかってはいますが、色の濃いものがいいです。
鮮度のいいほうれん草はしっかりとハリがあり、このように茎元を持つと葉先までピンとしています。
こちらはハリのないほうれん草です。持つとこのようにだらんと垂れ下がってきます。
並べてみるとこんな感じです。左はぴんと立つほうれん草で、右は垂れ下がったほうれん草です。比べると持ったときのハリ具合が全然違うのがわかるかと思います。
ほうれん草は葉がしたの方から密集して生えているものがいいです。下の画像を見てもわかりますが、大きな葉の茎の間から小さな葉と茎がのびてきています。
茎が適度な太さでしっかりしているもの選びます。茎が細いものは葉も細くうまみにも欠けます。茎が太すぎても今度は育ちすぎて葉が固くなり、アクも強くなるので要注意です。
茎も鮮度のいいものはしっかりとハリがあり、みずみずしさを保っています。こちらも葉と同様に鮮度によって影響が出やすいので見分けるポイントとなります。
こちらは鮮度が落ちたものです。茎にしわがより、しなっとしているのがわかるかと思います。
並べるとこんな感じです。左は茎にハリがありみずみずしいほうれん草で、右は茎がしなっとしたほうれん草です。並べるとその違いがよく分かるかと思います。
根本が鮮やかなピンク色の物も甘くておいしいです。ほうれん草は寒い季節になると色素成分でポリフェノールの一種ベタシアニンを生成します。この結果茎や根元、根の部分がピンク色に変色してきます。
また寒くなると凍らないように糖分を蓄える性質もあります。なのでピンク色になったものは甘みも増しています。スーパーなどで根元が緑とピンク色のほうれん草を見かけた際は、ピンク色のものを選ぶといいです。
ちなみにこちらは根元が緑色のほうれん草です。
並べるとこんな感じです。色見が全然違うのがわかるかと思います。
それからほうれん草はしっかりと土などを洗い流すことで、根元の部分も食べることはできます。根元には鉄分や骨を作るために必要なマンガンといった栄養素が多く含まれているので捨てずに利用しましょう。
こちらはピンク色になった根元を茹でたものです。苦みなどはなく、甘みもあっておいしたかったです。根元がピンク色のほうれん草を実際に食べて見た感想についてはほうれん草の根元がピンクの方が甘い?根元も食べれるの?実際に食べて見たら驚きの事実が!でも詳しく解説しているので、併せて参考にしてみてください。
株の切り口が大きくて新鮮でみずみずしいものを選びましょう。
鮮度が落ちてくると切り口も乾燥してきます。
並べてみるとこんな感じです。左は切り口がみずみずしいほうれん草で、右は切り口が乾燥したほうれん草です。鮮度が落ちて水分が抜けてくることでこのように見た目に差が出ます。
以下ではほうれん草の見分け方・選び方を鮮度のいいものと悪いものとで比較しながら動画で解説しているので、併せて参考にしてみてください。
ほうれん草も傷んでくるとしわしわになってきます。しおれている程度なら味は落ちますがまだ食べれます。さらに傷みが進むと茶色く変色し、ドロッと溶けて汁が出て異臭が出てきます。こうなるともう食べれません。
ちなみにこちらは保存に失敗して、葉の一部がドロッと解けてしまったほうれん草です。葉が溶けただけでなく異臭もします。ほうれん草も間違った保存法を実施するとこのように葉が溶けてしまうことあります。
詳しくはほうれん草が溶けて異臭が!間違った保存法でこんなことに!で解説しているので、こちらも参考にしてみてください。
ほうれん草は西アジア原産で東洋種と西洋種があります。日本には当初中国を通じて東洋種が入ってきて、のちに西洋から西洋種も伝わり、現在ではその交配種が主流となっています。
葉は薄く切れ込みも深いのが特徴です。株元の赤みも強いです。アクは少なく食味はいいです。山形赤根などの品種があります。
葉は厚く切れ込みもないか、少ない物が多く、丸葉なのが特徴です。株元の赤みは少ないです。ややあくが強く土臭いのが特徴です。春から初夏にかけてまかれるものが多いです。代表的な品種にはサンライトなどがあります。
葉肉が厚い西洋種の特徴と、味の良い東洋種の特徴を併せ持ったものが多いです。収穫量も多くなることから現在では主流となっている。千葉県で開発された豊葉やニューアンナ、ソロモン、アトラスなど様々な品種がある。
種類 | 見た目 | 特徴 |
---|---|---|
東洋種 | 葉の切れ込みは深く葉は薄い。株元の赤みは強い。 | あくが少なく食味がいい |
西洋種 | 葉の切れ込みは少なく葉は厚い。株元の赤みは少ない。 | ややあくが強く土臭い |
交配種 | 葉は厚く、切れ込みは深いもの安くないものなど様々 | あくが少なくて食味がいい |
ほうれん草の選び方、見分け方について見てきましたが、ほうれん草の保存方法についても紹介します。ほうれん草は乾燥に弱いのでポリ袋に入れ、軽く口を閉めて立てかけて冷蔵庫で保存します。これで1週間は保存が可能です。
茹でてから水けを絞り、カットしてから冷凍用保存袋に入れ冷凍保存すれば1ヵ月は持ちます。また風通しのいい場所で3日ほど干してから保存袋で冷蔵保存しても1ヵ月は持ちます。ほうれん草の保存方法について詳しくはほうれん草の保存方法と保存期間、長持ちのコツで解説しています。
ちなみに以下の動画では実際にポリ袋に入れて保存する方法の効果を検証しています。併せて参考にしてみてください。
ほうれん草には鉄分が多く含まれます。鉄分は赤血球の構成成分の一つで酸素運搬に関わります。欠乏すると貧血症状を引き起こします。ほうれん草の鉄分は量は多いですが吸収率はそれほど高くないので、動物性たんぱく質やビタミンCなど鉄分の吸収を高める栄養素と一緒にとると効果的です。
ほうれん草には抗酸化物質であるビタミンCやβ-カロテンが豊富に含まれます。ビタミンCやβ-カロテンは酸化や老化から体を守ってくれます。またビタミンCは鉄分の吸収率も高めてくれます。
ほうれん草には造血を促す葉酸やビタミンB6も豊富に含まれ、貧血予防にも効果があります。
他にも骨の健康にかかわるビタミンKや高血圧の予防効果のあるカリウムなども豊富に含まれます。
ほうれん草を見分ける時は葉の部分、茎の部分、根元の部分と分けてみていきます。葉は表も裏も緑が濃くてみずみずしいものを選びます。葉はしなびていなくピンと張っているものを選びましょう。
茎は葉に栄養素を送り適度な太さになっているものを選びます。また茎にもハリがあってみずみずしいものがいいです。根元は鮮やかなピンク色で切り口もみずみずしいものを選びます。
ほうれん草のチェックの流れ