HOME > 野菜の上手な解凍方法を検証 > 冷凍ほうれん草の解凍方法、自然解凍、流水解凍、氷水解凍のどれがいいのか検証してみた
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ほうれん草は冷凍保存しておくことで、鮮度を維持したまま長期保存が可能です。ただ使う際は上手に解凍しないと、触感や味の低下にもつながってしまいます。
そこで今回はほうれん草を自然解凍と流水解凍、氷水解凍してみて、どの方法が最も効果的なのかを検証していくことにします。
今回はいったん茹でてから冷凍したほうれん草と生のほうれん草の2種類で、それぞれ解凍方法を実践してみることにします。まずはゆでたほうれん草です。
まずは鍋に水を入れ、塩を水1リットルに対して小さじ1加えて火にかけます。沸騰したらほうれん草の茎の部分を先に浸け30秒ほど茹でます。
残りの葉の部分も浸して30秒茹でたら取り出します。
あとはさっと流水にさらして冷まします。ざるにあげてそのまま空冷で冷ますと冷めるまで時間がかかるので、余熱で火が入りすぎてしまい、食感が柔らかくなりすぎてしまいます。
ちなみに手間はかかりますがポリ袋に氷を入れて口を閉め、パッドなどに広げた茹でたほうれん草に押し当てて冷ましてもいいです。この方法だと水に浸けて冷まさないので、少し味が薄くなってしまう心配もありません。
ちなみに茹でたほうれん草を冷ます方法については茹でたほうれん草を冷ますならそのまま、水、氷水のどれが正解?検証したら驚きの結果に!でも詳しく解説しているので、こちらも参考にしてみてください。
冷めたら水けをよくしぼり、適度な長さに切り分けます。キッチンペーパーで軽く水けをふき取り、1回で使う分ごとにラップで包みます。これを冷凍用保存袋に入れ、冷凍保存します。そのまま2週間ほど冷凍保存します。
こちらが冷凍した茹でたほうれん草です。
並べるとこんな感じです。左は茹でたほうれん草で、右は冷凍した茹でたほうれん草です。
それでは冷凍したゆでたほうれん草を実際に解凍してみることにします。まずは冷蔵庫に移して1日ほど置いておき、低温下で自然解凍します。
解凍するとこのようになります。
並べるとこんな感じです。左は茹でたほうれん草で、真ん中は冷凍した茹でたほうれん草、右は冷凍してから自然解凍した茹でたほうれん草です。見た目的には自然解凍したものも冷凍する前とそれほど違いはありません。
食感は若干しなっとした感じがします。
今度は冷凍した茹でたほうれん草を流水解凍します。まずは冷凍した茹でたほうれん草をポリ袋に入れます。ポリ袋に入れる際はなるべく中の空気を抜いたほうが、ほうれん草が水に触れる面が増え、その分解凍時間も短くなります。
この時ストローがあると便利です。ストローをこのようにポリ袋の中に入れ、吸ったときに中に空気が入らないように、ポリ袋をしぼめて指でギュッと押さえます。
あとはストローで中の空気を吸いだします。2、3回吸うのを繰り返すとしっかりと空気を抜けます。あとは指で押さえたままさっとストローを抜きます。
ポリ袋をねじってからしっかりと締めます。これでこのように密閉することができます。
あとは容器に入れ、上から水をたらして流水解凍します。水がたまったら蛇口をしめて少量だけたらし続けます。水は空気の20倍ほどの熱伝導率があるので、水に浸けたほうが早く解凍できます。さらに水をたらし続けて水を動かすことでより早く解凍できます。
解凍できたかどうかは袋の上から触ってみて、柔らかくなってるかどうかで判断します。
今回は水温は8.5度ほどで、この状態で10分ほどで解凍できました。
並べるとこんな感じです。左は茹でたほうれん草で、真ん中は冷凍した茹でたほうれん草、右は流水解凍した茹でたほうれん草です。こちらも冷凍する前の茹でたほうれん草と、流水解凍した後の茹でたほうれん草でそんなに差はないです。
食べた感想は冷蔵庫で自然解凍したものよりも、ハリやシャキシャキ感がありました。
冷凍食品は解凍の際に細胞が壊れて、うまみや水分が流出しやすい時間帯があるそうです。それは解凍中に氷結晶が大きくなりやすいマイナス5度からマイナス1度の間と、酵素反応が起きやすい10度から40度の間です。
上手に解凍するには-5度から-1度の温度帯を早く通過し、さらに10度未満の温度にとどめておくことが大切です。
冷蔵庫での自然解凍だと低温でゆっくり解凍するので、-5度〜-1度の温度帯にとどまる時間も長くなってしまいます。なので解凍した茹でたほうれん草も若干シャキシャキ感が弱かったのだと思います。
一方流水解凍だと、水に浸けることで素早く解凍が進み、野菜がダメージを受ける温度帯にとどまる時間も短くて済みます。その結果冷蔵庫での自然解凍よりもシャキシャキ感が維持てきていたのだと考えられます。
次は冷凍した茹でたほうれん草を氷水解凍してみます。まずは冷凍した茹でたほうれん草をポリ袋に入れます。これをボウルかパッドに入れて水を注ぎます。
ここにポリ袋に入れたまま冷凍した茹でたほうれん草を入れ、さらに氷を加えて水温を下げます。ちなみにこの時の温度は1.8度でした。
このまま解凍するまで待ちます。途中氷が減ってきたらその都度氷を足します。今回は1時間ほどで解凍できました。
並べるとこんな感じです。左は茹でたほうれん草で真ん中は冷凍した茹でたほうれん草、右は氷水解凍した茹でたほうれん草です。こちらも冷凍する前と氷水解凍した後ではそんなに差は見られません。
食べた感想はこちらもハリやシャキシャキ感も比較的残っていました。ただ流水解凍したものと比べるとそこまで差は感じませんでした。
氷水解凍なら解凍後も1度前後と低い温度を保っているので、酵素反応が起きやすい10度を超えることもありません。ただ酵素反応は冷凍する前に茹でて加熱調理したり、調味料につけることで押さえることができます。
今回は茹でたほうれん草だったので、10度を超えてしまうような流水解凍でもそれほど影響を受けなかったと考えられます。そのため氷水解凍した場合と流水解凍した場合で大きな差が出なかったのでしょう。
自然解凍、流水解凍、氷水解凍と保存方法ごとにその解凍結果を並べるとこうなります。左上は茹でたほうれん草で、右上は自然解凍したもの、左下は流水解凍したもの、右下は氷水解凍したものです。
見た目の上ではどれもそんなに違いは見られません。
今度は冷凍した生のほうれん草で自然解凍、流水解凍、氷水解凍での違いを検証してみることにします。まずは自然解凍です。こちらは自然解凍した冷凍した生のほうれん草です。触感は大分しなっとしていて、ハリもそんなにありません。
並べるとこんな感じです。左は生のほうれん草で、真ん中は冷凍した生のほうれん草、右は自然解凍したほうれん草です。生のものに比べるとかなりしなっとしてしまっているのがわかるかと思います。
次は冷凍した生のほうれん草を流水解凍します。この時の水温は11.4度ほどでした。
こちらは流水解凍したものですが、自然解凍よりもハリやシャキシャキ感はあります。
並べてみるとこんな感じです。左は生のほうれん草で真ん中は冷凍した生のほうれん草、右は流水解凍した生のほうれん草です。流水解凍すると色も黒くなり、見た目もだいぶしなっとしているのがわかるかと思います。
最後に冷凍した生のほうれん草を氷水解凍します。ちなみにこの時の水温は1.6度でした。
こちらもハリやシャキシャキ感はありましたが、流水解凍したものと比べてもそこまで大きな差は感じませんでした。生のほうれん草の場合は、酵素などの影響から氷水解凍が最も鮮度が維持できるかと思いましたが、食べてみてわかるほど大きな差は出ないようです。
ちなみにハリやシャキシャキ感に関しては茹でたものも、生のものもそれほど差はありませんでした。
並べてみるとこんな感じです。左は生のほうれん草で、真ん中は冷凍した生のほうれん草、右は氷水解凍した生のほうれん草です。こちらも流水解凍と同じように色が濃くなり、見た目もしなっとしています。
自然解凍、流水解凍、氷水解凍と保存方法ごとにその解凍結果を並べるとこうなります。左上は生のほうれん草で、右上は自然解凍したもの、左下は流水解凍したもの、右下は氷水解凍したものです。
見た目の上では流水解凍したものと氷水解凍したものが色も黒くなり、見た目もしなっとしています。ただ食感に関しては自然解凍したものが一番ハリもなく、しなっとしていました。流水解凍したもの、氷水解凍したものは、どちらも自然解凍したもよりもハリやシャキシャキ感があり、食感はよかったです。
上は生のほうれん草を流水解凍したものと、茹でたほうれん草を流水解凍したものを並べています。食感に関してはどちらもそれほど差はありませんでした。ただ茹でた物の方が色鮮やかで見た目がいいです。
またほうれん草は生のままだと冷凍してから解凍してもえぐみがあり、そのまま食べてもあまりおいしくはありません。一方茹でたものだと冷凍して解凍した後でもえぐみもなく、加熱により甘みも増しているので、こちらはそのまま食べてもおいしいです。
なので冷凍自体は茹でてから冷凍することをおすすめします。
ほうれん草の冷凍はレンジの方がいいのか生の方がいいのかについてはほうれん草の冷凍保存は生と茹でた物、どちらが正解なのか検証してみたら意外な結果にでも詳しく解説しています。
ちなみに今回の検証については以下の動画でも詳しく取り上げているので、併せて参考にしてみてください。
それでは解凍したほうれん草を使ったレシピをいくつか紹介します。まず紹介するのがほうれん草のごま和えです。使う材料は以下の通りです。
解凍したほうれん草の水気をよく絞ります。
さらにここにしょうゆ小さじ1/2(分量外)を加えてさっと混ぜ、1分ほど置いてからよく絞ります。これは醤油洗いといいます。こうすることでしっかりと水気が切れ、仕上がりが水っぽくならずに済みます。
次にすり鉢に黒いりごまを入れ、半ずり程度に擦ります。
さらに砂糖としょうゆを加えてよく混ぜ合わせます。
ここにほうれん草を加え、よく和えたら出来上がりです。
こちらは冷凍した茹でたほうれん草を使って作ったほうれん草のごま和えです。
一方こちらは茹でてから冷凍せずにそのままのほうれん草を使って、作ったほうれん草のごま和えです。
並べるとこんな感じです。左は冷凍した茹でたほうれん草を使って作ったごま和えで、右は冷凍せずにそのまま茹でたほうれん草を使って作ったごま和えです。見た目にはそんなに違いは見られません。
肝心の味ですが、どちらもほとんど差はありませんでした。冷凍した方が味や食感は少し落ちるのかなと思っていたので、この結果は意外でした。
ちなみに以下の動画では、実際に冷凍したほうれん草を使っても、ごま和えがおいしく作れるのかどうかを、冷凍せずに作ったごま和えと比較して検証しています。こちらも参考にしてみてください。
次はほうれん草と鶏ささみのごまマヨネーズ和えを紹介します。使う材料は以下の通りです。
まずは鶏ささみを耐熱容器に入れ、酒と塩こしょうをふりかけます。ラップをしてレンジで600Wで2分加熱します。あとは粗熱が取れるまでおいておきます。
ボウルに流水解凍したほうれん草を入れます。ほうれん草は解凍すると水気が出るのでよく水けをしぼります。
さらにしょうゆ小さじ1/2(分量外)をふりかけ、1分ほど置いてからよく絞ります。
ここに粗熱が取れた鶏ささみを食べやすい大きさにちぎって加えます。
上からめんつゆをかけて5分ほど置いておきます。
すり白ごま、砂糖、マヨネーズを加えてよく和えたら出来上がりです。
こちらは冷凍した茹でたほうれん草を使って作ったほうれん草のごま和えです。
一方こちらは茹でてから冷凍せずにそのままのほうれん草を使って、作ったほうれん草のごま和えです。
並べるとこんな感じです。左は冷凍した茹でたほうれん草を使って作ったごま和えで、右は冷凍せずにそのまま茹でたほうれん草を使って作ったごま和えです。見た目にはそんなに違いは見られません。
肝心の味ですが、こちらもどちらもそんなに差はありませんでした。冷凍したほうれん草でもおいしく作れることがわかりました。
ちなみに以下の動画では、実際に冷凍したほうれん草を使っても、マヨ和えがおいしく作れるのかどうかを、冷凍せずに作ったごま和えと比較して検証しています。こちらも参考にしてみてください。
次はほうれん草ときのこのガーリック炒めを紹介します。使う材料は以下の通りです。
今回は冷凍のほうれん草は解凍せずに冷凍のまま使います。生のほうれん草を使う場合は、一度茹でてあく抜きしてから使ってください。
フライパンにオリーブオイルを引き、にんにくのみじん切りと唐辛子を加えて中火で火にかけます。
にんにくに火が通って香りが引き立ってきたら2cmほどに切り分けた薄切りベーコンと、石づきをカットして手でほぐしたしめじを加えて炒めます。
ベーコンにも火が通ったら冷凍のままほうれん草を加えて炒めます。ほうれん草が解凍されしっかり温まったら塩とこしょうを少々振りかけ、顆粒コンソメを小さじ1/4ほど振りかけてさっと炒め合わせたら出来上がりです。
肝心の味ですが、シャキシャキとした歯ごたえもあり、しっかりと味もしみていておいしかったです。
ちなみにこちらは茹でてから冷凍せずに、そのままのほうれん草を使ったほうれん草ときのこのガーリック炒めです。並べるとこんな感じです。見た目ではそんなに大きな違いは見られません。
こちらも食べてみましたが、こちらもしっかりとシャキシャキとした食感で、味もよくしみていておいしかったです。冷凍したものと比べても大きな差はありませんでした。
ちなみに以下の動画では、実際に冷凍したほうれん草を使っても、ほうれん草ときのこのガーリック炒めがおいしく作れるのかどうかを、冷凍せずに作ったガーリック炒めと比較して検証しています。こちらも参考にしてみてください。
今回は冷凍したほうれん草の解凍はどれがいいのかを実際に試してみました。結果は茹でたほうれん草の場合は流水解凍と氷水解凍が同じくらいハリやシャキシャキ感がありました。流水解凍の場合はさらに短時間で解凍できるというメリットがあるので、解凍するなら流水解凍をおすすめします。
また生の場合でも同様に流水解凍と氷水解凍がどちらも同じくらいハリやシャキシャキ感がありました。ただ生のほうれん草は、冷凍してから解凍したものでも、えぐみが強いので、そのまま食べるのはおすすめしません。
茹でたものなら解凍してそのまま食べてもおいしいので、冷凍するなら茹でてから冷凍するのをおすすめします。