じゃがいもには様々な品種がありますが、国内で生食用として最も多く生産されているのが男爵イモで、次いでメークインが多く生産されています。同じじゃがいもでも男爵イモとメークインでは見た目や味、よく合う料理などの特徴が異なります。
そこで今回は男爵イモとメークインの違いを、みためや果肉、生産量、原産地、味や食感、よく合う料理など様々な観点から見ていくことにします。
男爵いもは卵形のものが多いのが特徴です。一方でメークインは形が奇形になることが多く、卵形のものもありますが長卵形になることが多いです。色は男爵色は明るく黄色みがかっています。一方メークインは薄い土色をしています。
男爵いもとメークインの断面は見た目にそれほど差はありません。どちらも断面は薄い黄色です。
男爵いもとメークインの大きさや重さの違いについても調べてみます。それぞれ個体差が大きいので平均的な大きさで比較してみます。男爵いもは縦は6.5cm、横6cmのものを計ってみました。
このサイズでの重さは124.7gでした。
メークインは縦9.2cm、横5.7cmのものを計ってみました。横幅は男爵いもとそれほど変わりませんが、メークインの方が縦幅は長くなっています。
重さも縦に長い分1個当たり150.7gと男爵いもよりも重くなっています。男爵いもやメークインの様々なサイズでの重さについてはじゃがいもの重さは1個で何グラム、大きさやカロリーは?で詳しく解説しています。
国内では生食用のジャガイモの品種の中では、男爵イモの生産量が最も多く、次いでメークイン、ニシユタカ、キタアカリの順となります。農林水産省の資料によると2013年度では男爵イモの作付面積は14,376ha(ヘクタール)で、メークインは8,237ha、ニシユタカは5,720ha、キタアカリは4,072haです。国内では男爵イモとメークインの生産量がいかに多いかがわかるかと思います。
男爵イモはアメリカで発見された変異系統で、日本へは函館の川田男爵が英国から導入して普及させました。全国でも主要な生産品種となっています。皮をむくと変色しやすいので、加工や業務向けでは需要は減少傾向にあります。
英国品種で春においしくなることから5月(MAY)のQueenでメークインと命名されました。過繁茂(はんも)しやすく、形も奇形になりやすいことから、形は卵形以外にも超卵形になることも多いです。
男爵イモは粉質でホクホクとしています。またでんぷんが多く熱に弱くて荷崩れしやすいので、粉ふき芋やマッシュポテト、ポテトサラダ、コロッケなどに向いています。
でんぷん質の多い男爵いもですが、冷蔵庫のように3〜5度の低温下で保存するとでんぷんが糖分へと変わり、甘みが増し荷崩れもしにくくなります。煮物で使えば荷崩れもしにくくなり甘みも増します。そのかわりホクホク感は薄れます。
冷蔵庫で保存する場合は乾燥しやすいので2〜3日ほどで使いきりましょう。通常は冷蔵庫の野菜室での保存で2ヵ月は持ちます。
メークインは肉質が緻密で、でんぷんも少ないことから荷崩れしにくいため、カレーやシチュー、肉じゃがや煮物料理などに向いています。
男爵イモはふっくらとして丸みがあり、表面に傷やしわがなく滑らかなものがいいです。凸凹が多いものは生育不良です。大きさは大きすぎるものはすが入りやすく、中心部が空洞化して水っぽくなりやすいので、大きすぎるものは避けましょう。
また触ってみてしっかりとした固さがあり皮の薄さを感じるものが良品です。成長しすぎると皮も厚くなります。
メークインはふっくらとして丸みがあり、表面が滑らかで凸凹が少ないものを選びます。大きさは多少大きくても味にはそれほど影響はありません。メークインも触ってみて皮の薄さを感じ、しっかりとした固さのあるものを選びます。
じゃがいも全般の見分け方についてはおいしいじゃがいもの見分け方・選び方で詳しく解説しています。
今回は男爵イモとメークインの違いを様々な観点から見てきました。見た目は男爵イモは基本卵形で、メークインは卵形のほか長卵形などもあること、味は男爵イモは粉質で、メークインは粘質なこと、男爵イモはマッシュポテトやコロッケに、メークインはカレーや肉じゃがにあうことなどです。
スーパーなどでもどちらのジャガイモもよく見かけますが、こうした違いを知っておくことで、男爵イモもメークインもその特徴を生かしておいしくいただくことができます。