HOME > 野菜の上手な解凍方法を検証 > 冷凍にんじんの解凍方法、自然解凍、流水解凍、氷水解凍のどれがいいのか検証してみた
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にんじんは冷凍保存しておくことで、鮮度を維持したまま長期保存が可能です。ただ使う際は上手に解凍しないと、触感や味の低下にもつながってしまいます。
そこで今回はにんじんを自然解凍と流水解凍、氷水解凍してみて、どの方法が最も効果的なのかを検証していくことにします。
今回はいったんレンジで加熱してから冷凍したにんじんと生のにんじんの2種類で、それぞれ解凍方法を実践してみることにします。まずはレンジで加熱したにんじんです。
まずはにんじんの皮をむき、輪切りにします。これを耐熱容器に入れ、にんじん1本(150g)に対して水を大さじ1と1/2加えます。あとはラップをしてレンジで600Wで4分10秒、500Wなら5分加熱します。
加熱したらざるにとって水けをきり、冷めるまで待ちます。冷めたらキッチンペーパーで表面の水気を軽くふきとり、冷凍用保存袋に入れます。これを冷凍保存します。これを2週間ほど保存します。
こちらが冷凍したレンジで加熱したにんじんです。
それでは冷凍したレンジで加熱したにんじんを実際に解凍してみることにします。まずは冷蔵庫に移して1日ほど置いておき、低温下で自然解凍します。
解凍するとこのようになります。
並べるとこんな感じです。左はレンジで加熱したにんじんで、真ん中は冷凍したレンジで加熱したにんじん、右は冷凍してから解凍したレンジで加熱したにんじんです。見た目的には自然解凍したものは冷凍する前と比べて表面が若干水っぽいです。
食感は若干しなっとした感じがしますが、比較的歯ごたえは残っています。にんじんの香りや甘さはしっかりとあります。
今度は冷凍したレンジで加熱したにんじんを流水解凍します。まずは冷凍したレンジで加熱したにんじんをポリ袋に入れて口をしめます。
これをボウルやパッドなどに入れて、上から水を流します。水がたまったら蛇口をしめて少量だけたらし続けます。水は空気の20倍ほどの熱伝導率があるので、水に浸けたほうが早く解凍できます。さらに水をたらし続けて水を動かすことでより早く解凍できます。
解凍できたかどうかは袋の上から触ってみて、柔らかくなってるかどうかで判断します。
今回は水温は18度ほどで、この状態で12分ほどで解凍できました。
並べるとこんな感じです。左はレンジで加熱したにんじんで、真ん中は冷凍したレンジで加熱したにんじん、右は流水解凍したレンジで加熱したにんじんです。こちらも流水解凍したものは表面がしっとりとしています。
食べた感想は冷蔵庫で自然解凍したものよりも、そこまでしなっとした感じもなくしっかりと歯ごたえが残っていました。にんじんの香りや甘さもしっかりとありました。
冷凍食品は解凍の際に細胞が壊れて、うまみや水分が流出しやすい時間帯があるそうです。それは解凍中に氷結晶が大きくなりやすいマイナス5度からマイナス1度の間と、酵素反応が起きやすい10度から40度の間です。
上手に解凍するには-5度から-1度の温度帯を早く通過し、さらに10度未満の温度にとどめておくことが大切です。
冷蔵庫での自然解凍だと低温でゆっくり解凍するので、-5度〜-1度の温度帯にとどまる時間も長くなってしまいます。なので解凍したレンジで加熱したにんじんも歯ごたえが弱まり、若干しなっとした感じになっていたのだと思います。
一方流水解凍だと、水に浸けることで素早く解凍が進み、野菜がダメージを受ける温度帯にとどまる時間も短くて済みます。その結果冷蔵庫での自然解凍よりもしっかりとした歯ごたえを維持することができたのだと考えられます。
次は冷凍したレンジで加熱したにんじんを氷水解凍してみます。まずは冷凍したレンジで加熱したにんじんをポリ袋に入れて口をしめます。これをボウルかパッドに入れて水を注ぎます。
ここにポリ袋に入れたまま冷凍したレンジで加熱したにんじんを入れ、さらに氷を加えて水温を下げます。ちなみにこの時の温度は0.5度でした。
このまま解凍するまで待ちます。途中氷が減ってきたらその都度氷を足します。今回は1時間ほどで解凍できました。
並べるとこんな感じです。左はレンジで加熱したにんじんで、真ん中は冷凍したレンジで加熱したにんじん、右は氷水解凍したレンジで加熱したにんじんです。やはり解凍すると表面がしっとりとしています。
食べた感想はこちらもそんなにしなびた感じもなくしっかりと歯ごたえが残っていました。またにんじんの香りや甘みもしっかりあります。ただ流水解凍したものと比べるとそこまで差は感じませんでした。
解凍方法別に解凍した結果を並べるとこんな感じです。左上はレンジで加熱したにんじんで右上は自然解凍したレンジで加熱したにんじん、左下は流水解凍したレンジで加熱したにんじんで右下は氷水解凍したレンジで加熱したにんじんです。
見た目的には自然解凍、流水解凍、氷水解凍でそんなに差は見られません。
氷水解凍なら解凍後も1度前後と低い温度を保っているので、酵素反応が起きやすい10度を超えることもありません。ただ酵素反応は冷凍する前に茹でて加熱調理したり、調味料につけることで押さえることができます。
今回はレンジで加熱したにんじんだったので、10度を超えてしまうような流水解凍でもそれほど影響を受けなかったと考えられます。そのため氷水解凍した場合と流水解凍した場合で大きな差が出なかったのでしょう。
今度は冷凍した生のにんじんで自然解凍、流水解凍、氷水解凍での違いを検証してみることにします。まずは自然解凍です。こちらは自然解凍した冷凍した生のにんじんです。食感は大分しなっとしています。また味もだいぶ薄味になっています。
次は冷凍した生のにんじんを流水解凍します。この時の水温は18度ほどでした。
こちらは流水解凍したものですが、自然解凍よりも歯ごたえはありました。味はやはりだいぶ薄味です。
最後に冷凍した生のにんじんを氷水解凍します。ちなみにこの時の水温は0.5度でした。
こちらも自然解凍よりも歯ごたえはありましたが、流水解凍したものと比べてもそこまで大きな差は感じませんでした。生のにんじんの場合は、酵素などの影響から氷水解凍が最も鮮度が維持できるかと思いましたが、食べてみてわかるほど大きな差は出ないようです。
並べてみるとこんな感じです。左上は生のにんじんで、右上は自然解凍した生のにんじん、左下は流水解凍した生のにんじんで、右下は氷水解凍した生のにんじんです。解凍するとどれも表面が水っぽくなっていますが、解凍の違いによる見た目の差はあまりありません。
ちなみに生のにんじんを解凍したものと、レンジで加熱したにんじんを解凍したものだと、歯ごたえや味、香りいずれも、レンジで加熱したものの方がよかったです。なので冷凍自体は生のままよりもレンジで加熱してから冷凍することをおすすめします。
にんじんの冷凍はレンジの方がいいのか生の方がいいのかについてはにんじんの冷凍保存、生のままとレンジで加熱、どっちが正解か検証したら意外な結果に!でも詳しく解説しています。
ちなみに今回の検証については以下の動画でも詳しく取り上げているので、併せて参考にしてみてください。
それでは解凍したにんじんを使ったレシピをいくつか紹介します。まず紹介するのがにんじんとジャガイモの甘辛炒めです。使う材料は以下の通りです。
まずはジャガイモの皮をむき、乱切りにしてから耐熱容器に入れます。上からラップを軽く乗せ、レンジで4分〜5分(600W)加熱します。つまようじがすっと入ればしっかり加熱できています。
つぎにフライパンに油をひいて火にかけ、2cm幅にカットした薄切りベーコンを加えて炒めます。
さらに冷凍のままの輪切りにんじんを加えて痛い目ます。少し炒めたらさらにジャガイモも加えて炒めます。
ジャガイモに焼き目がついてきたら酒、みりん、砂糖、しょうゆ、鶏がらスープの素を加えてよく絡めます。
汁気が少なくなってきたら火を止め、器に盛って出来上がりです。
次はにんじんとごぼうのごまみそマヨネーズ和えを紹介します。使う材料は以下の通りです。
まずは冷凍したにんじんを流水解凍しておきます。
ごぼうは土をよく洗い落としたら薄めの乱切りにします。切ったごぼうは水を入れた耐熱容器に入れておきます。こうすることで変色を防げます。
全部カットしたら水を流します。この時大さじ1分ぐらい水を残しておくと、レンジで加熱したときにふっくらと仕上がります。
あとは上からラップをしてレンジで600Wで3分、500Wなら3分40秒加熱します。
ボウルに調味料Aを入れてよく混ぜ合わせておきます。
ここに解凍したにんじんとレンジにかけたごぼうを加え、よく和えたら出来上がりです。
今回は冷凍したにんじんの解凍はどれがいいのかを実際に試してみました。結果は生の場合でもレンジで加熱した場合でも、解凍は冷蔵庫での自然解凍よりも流水解凍の方が味や食感はよかったです。
流水解凍と氷水解凍自体はそんなに差はなかったので、より短時間で解凍できる流水解凍をおすすめします。
ちなみに冷凍自体は生よりも一度レンジで加熱してからの方が、解凍時の味や食感の持ちがいいので、冷凍自体は一度レンジで加熱してからがおすすめです。