HOME > 食品を上手に冷凍保存・解凍する方法 > 里芋の冷凍保存、生、茹でのどっちが正解なのかを検証してみた
|
里芋も冷凍保存すれば長期保存が可能です。ただ冷凍保存する場合、生のままでいいのか、茹でたほうがいいのかは気になるところです。そこで今回は実際に生と茹でたものを冷凍保存してみて、その違いを検証してみることにします。
生で保存する場合はこのようにまずは里芋の皮をむきます。
これを冷凍用の保存袋に入れて冷凍保存します。
ちなみに冷凍用保存袋に入れる場合は、ストローなどを使って中の空気を吸いだし、密閉してから保存するといいです。密閉した方が熱伝導率が高くなるので、より早く冷凍でき鮮度を維持することができます。
茹でる場合はまずは里芋をよく洗って土を落とします。つぎに鍋に水を入れ、水1リットルに対して大さじ1の塩を加えて火にかけます。沸騰したら里芋を加えて茹でます。
里芋の茹で加減がどのくらいがいいのかも気になったので、今回は固めの3分茹でたものと、5分茹でたもの、7分茹でたもので冷凍してから解凍したときの違いを見ていくことにします。
ちなみにしっかりと中まで柔らかくゆでるなら12分から16分ほどかかります。ただここまで茹でてしまうと冷凍して煮物などで使うときに煮崩れしやすくなってしまうので、今回は茹でるのは7分までのものにします。
皮付きで茹でた里芋は7分ほど茹でると手でこするだけでこのように簡単に皮がむけます。
一方5分以下の場合はこのようにこすってもなかなか皮はむけないので、手間はかかりますが包丁で皮をむきます。
あとは冷めるまで待ち、それぞれ生の里芋の時と同じように冷凍用保存袋に入れて2週間冷凍保存します。
ちなみに冷凍するのに最適なゆで時間については里芋を冷凍保存用に茹でるなら固さ、茹で時間は3分、5分、7分、10分、16分の何分が正解?でも詳しく検証しているので、こちらも参考にしてみてください。
ちなみに里芋は皮付きのまま茹でた方がいいのか、それとも皮をむいてから茹でた方がいいのかは気になるところです。そこで実際に両方を試してみました。
左は皮をむいてから茹でた里芋で、右は皮付きのまま茹でてから皮をむいた里芋です。見た目は皮をむいて茹でた方がややしっとりとして実が少し崩れてきています。
味の方は皮をむいたほうが塩味が効いていておいしかったです。茹でてそのまま食べるなら皮をむいてから茹でるのがおすすめです。料理の下ごしらえで、その後味付けをするなら、皮をむくのが楽な皮付きのまま茹でる方をおすすめします。
詳しくは里芋を茹でるなら皮むき、皮付き(皮ごと)どっちが正解か検証してみた!で解説しているのでこちらも参考にしてみて下さい。
里芋は下処理で茹でるのが定番ですが、他にも蒸したりレンジで加熱する方法もあります。実際どれが一番味や食感がいいのかは気になるところだと思います。そこでこちらも実際に試してみました。
したがレンジで加熱した里芋、茹でた里芋、蒸した里芋を並べたものです。見た目は茹でた里芋と蒸した里芋がややしっとりとしています。
味は茹でたものがほんのりと塩味が効いていておいしかったです。レンジで加熱した里芋と蒸した里芋は里芋そのものの味といった感じです。食感はどれもあまり差はありませんでした。
詳しくは里芋は茹でる、レンジ、蒸すでどれが正解なの?検証してみたら驚きの結果に!で解説しているのでこちらも参考にしてみて下さい。
それでは冷凍保存した里芋を解凍してみることにします。解凍は加熱解凍で行います。他にも自然解凍や流水解凍、氷水解凍などありますが、里芋は一度加熱してから冷凍したものでも、自然解凍や流水解凍、氷水解凍で冷えたままだと、食感がかなり悪くなります。
なので今回は加熱解凍で解凍していきます。ちなみに自然解凍や流水解凍、氷水解凍したときにどんな感じになるかは冷凍した里芋の解凍方法、流水解凍、加熱解凍のどれがいいのか検証してみたで解説しています。
で解説しているのでこちらも併せて参考にしてみてください。まずはこちらは解凍する前の冷凍した生の里芋です。こちらを加熱解凍します。加熱は蒸し器で蒸して加熱することにします。
このように蒸し気に水を入れて沸騰させ、蒸気が出てきたら冷凍した里芋をのせ、蓋をして蒸しあげていきます。大体12分ほどで蒸し上がりました。
こちらは加熱解凍した生の里芋です。食べて見たところ食感はしっとりとして柔らかくて全然よかったです。ただ味の方は里芋の味はしますが少し薄い感じもします。
次に3分茹でてから冷凍した里芋を見ていきます。こちらは加熱解凍したものです。食感はしっとりとして柔らかくて、生のものとそんなに差はありませんでした。 味は生のものよりも里芋の味が濃い感じがしました。
次は5分茹でてから冷凍した里芋を見ていきます。こちらは加熱解凍したものです。こちらは3分茹でたものよりも少し里芋の味が濃い感じがしました。
3分だと生ほど里芋の味は落ちてはいませんが、しっかり5分茹でた方が里芋の味は濃くなるようです。柔らかについては3分とそんなに差はありませんでした。
次は7分茹でてから冷凍した里芋を見ていきます。こちらは加熱解凍したものです。味は5分茹でたものよりも少し里芋の味が濃い感じがしました。柔らかさは5分よりも若干柔らかい感じがしました。
味に関しては生、3分、5分、7分と加熱時間が長いものほどより里芋の味が濃かったです。ただ柔らかさに関しては生、3分、5分はそれほど差はありませんでしたが、7分は少し柔らかめになっていました。
12分蒸した段階では煮崩れするほどではなかったので、蒸してから食べる分には問題はないのですが、冷凍した里芋は煮込み料理などで長く煮込むこともよくあります。その場合なるべく固めに茹でた方が煮崩れしにくくなります。
味は7分が若干5分よりもよかったのですが、固さも考慮すると、3分茹でたものと固さはそんなに変わらなくて比較的味もしっかりとしていた5分茹でる方法をおすすめします。
炒め物など長く煮込む料理以外での用途で使う場合は7分茹でてから冷凍保存してもいいです。7分茹でる場合は簡単に皮もむけるので皮をむく手間もかなり省けます。
加熱解凍したそれぞれの里芋の味や食感の違いをまとめるとこんな感じです。
今回の検証については以下の動画でも詳しく取り上げているので、併せて参考にしてみてください。
里芋を茹でて冷凍保存する際には水けをきり、キッチンペーパーなどで水けをふき取ってから冷凍保存します。こうすると霜がつきにくいです。霜がつくと解凍時に味が落ちやすくなります。また食品同士もくっつきやすくなるので、使う時に不便です。
野菜は冷凍にかける時間が短ければ短いほど鮮度の落ちも少なくて済みます。冷凍したものもおいしさを維持したいならいかに早く冷凍させるかが大事です。そこで金属トレイの登場です。金属トレイは熱伝導率が高く、里芋に素早く冷気を伝えて冷凍を早めてくれます。冷凍用保存袋に入れた里芋を金属トレイの上にのせて冷凍保存するといいです。
しっかりと冷凍し終わったなら金属トレイを取り出して里芋だけを冷凍保存します。
ちなみに冷凍用保存袋といえばジップロックが有名ですが、こちらはあらかじめ保存袋の表面に日付や保存する食材名を記入する欄がプリントされています。ジップロックはS、M、Lとサイズがあり、スーパーやドラッグストアなどでも売っていますが、ネットでまとめて購入することもできます。
冷凍用保存袋に入れて保存する場合は空気をしっかりと抜いて保存しましょう。雑菌は空気に触れることで繁殖するので、そのままだと食材の傷みも早くなります。
食品の冷凍で大事なのはいかに早く冷凍するかですが、そのためにも保存する際は食材をなるべく薄く平らにして保存しましょう。こうすると素早く均一に冷凍することができます。また解凍時の時間も短縮することができます。
冷凍保存でよくあるのがいつ保存したのかを忘れてしまうことです。1カ月保存できると油断して放置してしまって実際いつ頃保存したのかわからなくなってしまうというのもありがちです。冷凍用保存袋に保存した日付を記入するか、シールに日付を記入して張っておくといいでしょう。
それでは冷凍した里芋を使ったレシピをいくつか紹介します。今回紹介するのは里芋の煮っころがしです。
ちなみに里芋を冷凍したものと、冷凍せずに生のままの里芋をそれぞれを使って作ってみて両者の味の違いも検証しています。使う材料は以下の通りです。
まずは鍋に冷凍のままの里芋を入れます。ちなみに生の里芋を使う場合は冷凍する前と同じように5分ほど固ゆでにしたものを使います。
里芋の上からだし汁1/2カップ、砂糖大さじ3/4、しょう油小さじ1/2、塩小さじ少々加えます。このまま一煮立ちさせます。
沸騰したら弱火にして落し蓋をして15分ほど煮込んだら出来上がりです。途中焦げないように何度かヘラで返してやるといいです。
こちらは冷凍した里芋を使って作った里芋の煮っころがしです。
一方こちらは冷凍していない生の里芋を使って作った里芋の煮っころがしです。
並べるとこんな感じです。並べてもそんなに差は見られません。やや色は冷凍の里芋を使ったものの方が濃いめではあります。冷凍の里芋を使ったほうも特に煮崩れなどはしていません。
肝心の味ですが、冷凍した里芋を使った方は、味もしっかりと里芋の味がして調味料もよくしみていておいしかったです。食感もしっとりなめらかでした。
一方冷凍していない生の里芋を使った方は、こちらもしっかりと里芋の味がして調味料もよくなじみおいしかったです。食感もしっとりなめらかでした。
両者を食べ比べて見て、味も食感もどちらもそんなに差はありませんでした。冷凍した里芋を使っても煮崩れすることもなくしっかりおいしく仕上がりました。
次に揚げ焼き里芋ののり塩和えを紹介します。こちらも里芋を冷凍したものと、冷凍せずに生のままの里芋をそれぞれを使って作ってみて両者の味の違いも検証しています。
冷凍のものを使う場合は先に蒸し器で解凍しておきます。しっかりと柔らかくなるまで解凍しておいた方が、揚げた時においしく仕上がります。なので蒸し器で12分ほど蒸し焼きにします。
今回はこの蒸し器で蒸し焼きにしておいた冷凍の里芋を使います。使う材料は以下の通りです。
今回は冷凍した里芋を使いますが、生の里芋を使う場合はしっかりと柔らかくなるまで塩ゆでにします。
鍋に水と水1リットルに対して塩大さじ1を加えて火にかけます。沸騰したら皮付きのままよく洗った里芋を加えて15分ほど茹でます。しっかり茹でることで里芋が柔らかく仕上がります。茹でたら半分にカットします。
次に小さめのフライパンに油をこのぐらい入れます。揚げ焼きにするのでたっぷりと油を使う必要がないので、その分油を節約できます。
油が十分温まってきて、菜箸を入れたら気泡がぷつぷつと湧いてくるくらいになったら、里芋を加えてあげていきます。
表面がこんがりきつね色になってきたらキッチンペーパーを敷いた皿やフライヤーなどに取り出します。
あとは塩と青のりをふって出来上がりです。
こちらは冷凍の里芋を使って作った揚げ焼き里芋ののり塩和えです。食べてみたところ外はカリッとしていて、中はふんわり柔らかくて食感は全然よかったです。
味も里芋の味が口の中に広がりおいしかったです。冷凍したものを使っても十分おいしくできたのは驚きでした。
一方こちらは生の里芋を使って作った揚げ焼き里芋ののり塩和えです。食べてみたところこちらも食感は外はカリッとして中はふんわり柔らかくておいしかったです。食感に関してはどちらもよかったです。
味の方もこちらもやはり里芋の味が口に広がりおいしかったです。ただややこちらの方が里芋の味は濃厚な感じがしました。
両方食べて見ると生の里芋を使ったほうが味はやや濃厚でしたが、冷凍の方も十分においしかったです。
次に里芋の煮物を紹介します。こちらも里芋を冷凍したものと、冷凍せずに生のままの里芋をそれぞれを使って作ってみて両者の味の違いも検証しています。
こちらは冷凍の里芋をそのまま使います。使う材料は以下の通りです。
まずは鍋に冷凍のままの里芋とだし汁600ml、酒50ml、かつお節1袋を入れて火にかけます。ちなみに生の里芋を使う場合は冷凍する前と同じように5分ほど固ゆでにしたものを使います。
沸騰して2分ほどしたら砂糖大さじ6を加えて中火で4分煮込みます。冷凍していない茹でた里芋を使う場合は6分茹でます。
さらにしょうゆ大さじ5を加えて8分茹でたら出来上がりです。冷凍していない茹でた里芋の場合は10分茹でて出来上がりです。
こちらは冷凍した里芋を使って作った里芋の煮物です。冷凍の里芋を使いましたが特に煮崩れなどはしていません。食べてみたところしっかりと味がしみこんでいておいしかったです。食感もしっかり煮込んでいるのでしっとりと中まで柔らかくなっていておいしかったです。
一方こちらは冷凍していない生の里芋を使って作った里芋の煮物です。やや色は生の里芋を使ったものの方が薄めではあります。食べてみたところこちらもよく味がしみこんでいておいしかったです。
食感もしっかり柔らかくなっています。正直冷凍したものと味や食感はそんなに差は感じられませんでした。
ちなみに半日ほど置いておくとさらにしっかりと中まで味がしみこんでおいしくなります。なので早めに作っておいて、半日ほど置いておき、たべる前にまた温めなおして食べるとさらにおいしくいただけます。
ちなみにそれぞれのレシピの作り方についてはこちらの動画でまとめて紹介しているので、併せて参考にしてみてください。
里芋は作りおきおかずにして冷凍保存もできます。冷凍保存しておけば解凍だけで手軽に料理に一品を加えることができます。まずは里芋料理の定番の里芋の煮っころがしを紹介します。
作り方は里芋の皮をむいて一口サイズに切り、鍋に里芋がかぶるくらいの水を入れて沸騰させ里芋を加えて中火で3分ほど茹でます。里芋を取り出して流水でぬめりを取り、再びからの鍋に入れ、調味料を加えて一煮立ちさせた後、弱火にして落し蓋をして15分ほど煮込んで完成です。
里芋のともあえにして冷凍保存してもいいです。作り方は里芋の皮をむいて一口サイズに切り、塩(小さじ1/4 分量外)をかけてぬめりを出して流水でぬめりを洗い流します。鍋に里芋がかぶるくらいの水を入れ、沸騰させてから里芋を加え10分ほど茹でて里芋が柔らかくなったら取り出します。柔らかさは竹串がすっと入るとちょうどいいです。
ボウルに里芋1/3を加えてフォークで砕きながら調味料と混ぜ合わせ、さらに残りの里芋も加えて砕きながらよく混ぜ合わせれば完成です。
作りおきのおかずは容器ではなく冷凍用保存袋に入れて平らにして、冷凍保存します。使う時はレンジの解凍キーを使います。さらに温めたい場合は電子レンジで使える別の容器に入れて温めなおすといいです。
そもそも冷凍庫の保存温度はどのくらいなのでしょうか。冷蔵庫の保存温度は0度〜5度です。これに対して冷凍庫の保存温度はマイナス18度に設定されています。食材をしっかりと冷凍させるために0度近辺ではなくこの温度に設定されているわけです。なお製品によっては急速冷凍させるためにマイナス30度に設定しているものもあります。
里芋は通常は冷暗所で新聞紙を引いたダンボールに重ならないように入れ、上から新聞紙をかけて保存します。1か月ほど保存ができます。冷暗所とは14度以下の環境で直射日光が当たらず、湿気の少ない場所です。夏場などで冷暗所がないなら冷蔵庫の野菜室に新聞紙に包んで保存してもいいです。冷蔵庫だと1週間ほど保存できます。
里芋は干して乾燥させて保存することもできます。まずは皮をむいて輪切りにした里芋を水にさらしてから、しっかりと水けをふきとります。後はざるに並べて3日ほど天日に干した後保存袋に入れて冷蔵庫で保存します。1か月ほど保存できます。
使う時はみそ汁に入れたり煮物に直接入れるといいです。里芋の保存方法全般については里芋の保存方法と保存期間、長持ちのコツで解説しています。
ちなみに以下の動画では実際に新聞紙で包んでポリ袋に入れて保存する方法の効果を検証しています。併せて参考にしてみてください。
里芋も冷凍保存することで長期保存が可能ですが、そもそも購入段階で鮮度のいい里芋をしっかりと選ぶことも、冷凍保存するうえでは重要です。そこで鮮度に良い里芋の見分け方を紹介します。里芋はまずは土付きのものを購入しましょう。
そしてしま模様がはっきりとしていて、持ってみて身がしっかりとしまっているもの、お尻の部分(切り口のある方)がふかふかしていないものを選びます。また表面にひび割れがなく適度にしっとりしているものを選びます。
以下では里芋の見分け方を動画で解説しているので、併せて参考にしてみてください。
今回は里芋を冷凍するなら生がいいのか茹でてからがいいのかを検証しました。結果は生で冷凍して解凍しても里芋の味は比較的残っていて、全然食べられないことはありませんでした。
ただ3分、5分、7分とゆで時間が長くなるほど里芋の味も濃くなっていきました。一方煮込み料理などで使うことを考慮すると茹ですぎると身が柔らかくなってきて、煮崩れしやすくなります。
味だけでなく固さも考慮すると5分茹でてから冷凍保存するのをおすすめします。炒め物などで長く煮込む用途で使わないのであれば7分茹でる方法でもいいです。