| | |
 | 鏡が曇る原因と対策、洗面所やお風呂場の鏡を曇らせなくするには?
| |
| | |
はじめに
寒い季節になると洗面所やお風呂場にある鏡が曇ってしまい、見えなくて困ってしまったという経験のある方も多いのではないでしょうか。そこで今回はなぜ鏡は曇ってしまうのかについてその仕組みを詳しく解説します。さらに鏡を曇りにくくする方法も併せて紹介します。
どうして鏡が曇るのか
鏡が曇るのは小さな水玉が鏡表面に無数にくっつくことが原因で、水玉にひかりが乱反射して白く雲って見えるのです。ではどうして水は鏡表面に水玉となって付着してしまうのでしょうか。これには水の表面張力が大きく関わっています。
表面張力とは
引っ張る力が弱いと不安定に
表面張力(または界面張力)とはなにかといいますと一言でいえば表面積を最も小さくしようとして働く力のことです。これだけではよくわからないと思いますので水を例に見ていきますが、まずそれぞれの水分子には互いを引き合う力である分子間力が働きます。
分子間力によって四方八方から引っ張られている分子は安定した状態になります。液体内にある水分子は360度引っ張られているので安定していますが、表面にある水分子は液体に接する面と接しない面とに別れます。接する面は液体内の分子間力で引っ張られますが、接しない面からは引っ張られていないので表面の分子はその分不安定になります。
不安定な状態では表面積を小さくしようとする
不安定を解消するために最小限まで表面積を小さくしようとして働く力が界面張力(表面張力)なのです。同じ体積で最も表面積が小さくなる形は球体です。ですから水滴やシャボン玉は表面張力により球体になるのです。
鏡を曇りにくくするには
鏡側の分子の引力が強いと水は濡れ広がる
鏡表面に水がついた時は水分子は表面を境に、液中側からは分子間力で引っ張られ、鏡側からは鏡を構成する分子からの引力で引っ張られます。水中の分子間力のほうが強ければ表面張力により水玉となりますが、鏡側の引力のほうが強ければ鏡側に引っ張られて表面に濡れ広がって行きます。
親水性の強いコーティング剤を塗る
鏡表面に平らに水が濡れ広がっていれば光が乱反射することもありませんのでくもる心配もありません。したがって鏡のくもり対策を考えるなら鏡側からの水分子を引っ張る力を高めるために親水性の高いコーティング剤(例えば界面活性剤の入った洗剤など)を鏡表面に塗るといいでしょう。
親水性を高めるには
界面活性剤入りの洗剤などを塗る
では実際に鏡表面をコーティングするのにどのようなものが使えるのか見て行きましょう。家庭にあるものだと石鹸液や洗剤、シャンプー、シェービングクリームなど界面活性剤の入った物などが使えます。効果はそれぞれでしょうが鏡表面に塗ったあと5分ほどまって乾拭きすれば少なくとも1回の入浴の間ぐらいはもつはずです。
市販の曇り止め剤を利用する
こちらは市販のもので、鏡をよく洗ってから曇り止め剤を塗り、しばらく置いて乾かしてから使うものです。曇り止め剤を塗ることで親水性が高まり、水をかけた時にさっと濡れ広がり、鏡が曇らないという仕組みです。1回の使用で入浴約20回分の効果があるようです。
ただこちらは曇り止め剤を塗ってからシャワーなどで水を吹きかけ、表面に濡れ広がった状態にする必要があるので、全面を濡らせない洗面所の鏡などには使えません。
ちなみに洗面所で使えるタイプも市販されています。こちらはまずは鏡をきれいに掃除してから曇り止め剤の入ったスプレーを吹きかけます。あとは乾いた布かティッシュなどで伸ばすように拭くだけです。1回の吹き付けで1週間以上は持つようです。
浴室は湿度が高く、また直接水が鏡にかかる環境です。おそらく曇り止め剤も浴室用と洗面所用で強度の異なるものが使用されているものと思われます。なので浴室用と洗面所用それぞれ用途に合ったものを利用されることをおすすめします。
水の温度が高いと曇らない?
水分子の運動量が高まれば分子間力は弱まる
夏場に鏡に水をかけても鏡は曇ることはまれですが、冬場だとなぜだか曇ってしまいます。これも実は表面張力が関係しています。表面張力が働くと水は水玉となって曇りの原因になりますが、温度が高いときには水分子の運動量も高くなります。分子自体の運動量が高くなれば分子間で働く力に拮抗する事になり、結果的に分子間力が弱まります。
分子間力が弱まれば表面張力は低下する
分子間力が弱まれば表面張力も低下します。表面張力が低下すれば水は水玉になりにくくなります。したがって夏場で気温が高いときには水をかけても水玉にはならずにかがみ表面に濡れ広がっていくので曇らないわけです。逆に冬場は水をかければ曇るのはもちろんですが、お湯をかけても冷たい鏡表面で冷やされて水温が下がると共に表面張力が高まって水玉となりくもってしまいます。
鏡を温める
ヒーター付きの鏡
鏡がくもるのは冷たい水が鏡表面に付くことが原因ですが、接触経路は直接冷たい水がかかるか、温かい湯気やお湯が冷たい鏡表面に触れることで冷やされて冷水になるかのどちらかでしょう。対処法は冷水がかからないようにする事と、鏡表面にお湯や湯気がかかっても冷えないようにする事です。
冷えないようにするには鏡自体を温めてやるという方法があります。実際鏡の裏にヒーターが付いていて鏡を温めることで曇り止め対策をしている商品もあるようですが、新たに設置する場合は費用や手間がかかるのが難点だといえます。
ドライヤーの温風で温める
少々手間はかかりますがドライヤーを使って鏡を温めてやるという方法もあります。ただドライヤーをあまり近づけてしまうと、鏡が高温になりすぎてしまい、破損の恐れも出てきて危険です。なので当てる際はある程度距離を取って開けるようにしてください。
お風呂場などでは漏電などの危険性もあるので避けたほうがいいです。お風呂場ならお湯をかけるだけでも一時的ですが曇りはとれるので、安全性を考えてそちらの方がいいでしょう。
まとめ
今回は鏡が曇る原因と対処法について詳しく見ていきました。鏡が曇るのは主に鏡表面に水が水玉となってくっつくことが原因です。ここに光が当たると乱反射して曇って見えるわけです。鏡を曇らなくするには水玉ではなく、鏡表面に水が濡れ広がるようにするといいです。
そのためには鏡自体を温めたり、鏡表面に親水性の高い界面活性剤入りのせっけん液や市販の曇り止め剤などを利用するといいです。
この記事を書いた人

生活知恵袋
生活知恵袋の管理人で管理人の名前も生活知恵袋といいます。料理雑学研究家です。2002年より当サイトを運営。野菜を中心に食品に関する見分け方や保存方法などを、実際の検証とともに解説した記事を多数執筆。光熱費や水道代の節約、衣服や住まい、掃除に関する豆知識も紹介。
>> 詳しくはこちら
修繕編一覧
湿気編一覧
その他一覧